「20世紀少年〈第1章〉終わりの始まり」 ☆☆☆
以前、日テレでテレビ向きに再編集されたものが放送されたということだが、見ていない。今回、日本映画専門チャンネルで劇場オリジナル版が放送されたので、寝転がって見てみた。この日本映画専門チャンネル、最近はハイビジョン放送も始めたそうだが、私の加入しているCATVでは高いデラックスコースでしかハイビジョン放送は見られない(我が家はスタンダードコース)。そのせいもあって、新しい映画にしてはくっきり画質とは言えないものの、問題にするほど悪いわけではない。 原作は浦沢直樹。 浦沢直樹のものはかつて「パイナップルARMY」「YAWARA!(あの柔ちゃんの柔道まんが)」「MASTERキートン」「MONSTER」など読んだことはある(ただし最初から最後まで読んだものはない(^^;)。最近はまんがはほとんど読んでおらず、この「20世紀少年」は全く読んでいない。というか、そういうまんががあることすら知らなかった。 唐沢寿明、豊川悦司、香川照之、佐々木蔵之介、宇梶剛士、常盤貴子、黒木瞳とそろえた出演者がまず豪華である。これだけ役者がそろったら3本くらい映画ができてしまいそうなほどだ。宮迫博之(雨上がり決死隊)、石塚英彦(ホンジャマカ)どもかなり重要な役で出てくる。さらにチョイ役で石橋蓮司、竜雷太、佐野史郎、生瀬勝久、中村嘉葎雄なんてところも加わる。同窓会のシーンではチェッカーズのフミヤ、シブガキ隊のフッくん、小日向文世おじさんまで出てくる。が、さすがにこの連中が「同級生」というには、無理があったか。さらにさらにカットしても全く問題ないようなどうでもいいようなシーンに竹中直人、及川光博、研ナオコそれにタカ・トシ、オリ・ラジなどお笑い芸人も出てくるという豪華さ。瀕死の遠藤憲一(エンケン)が遠藤健児(唐沢の役名)に事後を託すという、遠藤つながりのお遊びサービスまである。 監督の堤幸彦は「ケイゾク」「トリック」などちょっとしたカルト人気もある作品を作った人。制作費も60億円とたっぷりで、その上、脚本には原作者自身も参加しているというのだから、どこにも欠点は見当たらない。 物語は、子どものころ遊び半分に書いた「予言の書」の予言が次々と実現され始め、予言では2000年12月31日(つまり20世紀の終わり)に世界の終末がくるというもの。堤監督は手慣れたもので、初めの方はカメラアングル、照明、音楽ともホラータッチで押していく。そして、自分たちの予言が実現されているのだと気づいた唐沢たちがついに立ち上がる。←おっ、いかにも映画の宣伝みたいだぞ。(^^; では、これだけの予算、キャスト、スタッフが集まったのだから大傑作なのかと問われると、……ううむ、と言うしかない。 有名どころを集めたのはいいが、たとえば黒木瞳が若き日の唐沢の姉を演じるには少々無理があるし、実年齢はともかく同級生というには常盤貴子は若く見えすぎる(あの小日向文世おじさんと同年齢なのですぞ)。 予言の書には9人の戦士がと書いてあるのだが集まったのは7人。ところがこの9人、オッチョだのドンキーだのとあだ名で呼び合ったりしているので、原作を読んでいない身には、いったい誰が誰なのかさっぱりわからない。よっやくオッチョがトヨエツだとわかっても、少年時代の映像と現代の映像の中にめまぐるしくフラッシュバックしてくるので、せっかくオッチョ=トヨエツとわかっても、少年たちのうちのどれが少年トヨエツなのか識別できない。そのため、大人7人が集まったとき、まあ常盤貴子は昔の仲間でただ1人の少女だからわかるとして、少年時代のどの2人が欠けているのかが、困ったことに私にはわからなかった。 そのほかにも、あれはどうなったんだろうと思ったところ多数。東京は危ないからとブルートレインで去って行ったカンナちゃん(唐沢の姉・黒木さんの娘)はいつ東京に戻ってきたのだろう。コンビニにカンナちゃんをさらいにきた集団に常磐さんがイヌをけしかけるのだが、その直後の火事の場面ではイヌはいなくなっている。どこへ行ってしまったのだろう等々。 かぶり物で連想するニンニンの忍者ハットリくんには、昔テレビでみたお面をかぶったドラマと、SMAPの香取慎吾が素で演じた映画とがあった。が、どれも退屈な失敗作だった。要するにまんがの人物をそのまま人間が演じたところで中途半端でおもしろくないのだ。例の手と目とをコラボしたともだちマークにしろハットリくんの仮面にしろ、まんがの中でなら自然に受け入れられると思うのだが(そもそも「まんが」だからね)、それが実写の中に入ってるといかにまんがに忠実に映画化したとはいえ、あまりに不自然である。映画独自のおもしろさは、まんがや小説とは別のところに求めなければならないと思うのだが、この「20世紀少年」は、少なくとも〈第1章〉に関する限り中途半端に終わってしまった。 「スター・ウォーズ」「インディー・ジョーンズ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」など3部作のシリーズは(「スター・ウォーズ」は前半・後半各3部作の計算)だいたい第2部がつなぎでダレ、第3部でそれを回収するという形になっている。この映画も第2部(第2章)でさらに謎が増え、それを第3部で大慌てで回収するということになるのだろう。 とはいえ、第2章も放送されたら見るんだろうなあ。で、第2章を見たらまあここまで見たんだからと最終章も見ることになる。その意味ではまんまと制作者の企みにはまってしまったとも言える。ちなみに「ともだち」の正体なのだが、こういう話の場合意外性が必要なので、おそらく9人のなかまの中にいるはずと予想。豊川悦司なら意外性は十分だがちょっと無理があるので香川照之、佐々木蔵之介あたりが怪しいと思うのだが、最終章まで見た人、絶対にコメントしないように。と、書いているのに我が家の奥様が「ともだちの正体は○○○○よ」と親切にも教えてくれた。ごごごごごっらあぁぁぁぁぁ。(▼▼メ) ☆★は、尊敬する映画評論家=故・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。要するに合格というか許せるぎりぎりのラインということです。) |